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「個」の探求者・鈴木其一:朝顔、菖蒲、芥子
鈴木其一(すずききいつ、1796-1858)は江戸時代後期に活躍した江戸琳派の代表的画家であり、酒井抱一の実質的な後継者として知られています。江戸琳派の優美な画風を基盤としながらも、独創的で斬新な作品を多数生み出し、幕末から明治にかけての琳派様式の発展に大きく貢献しました。その大胆な構図と鮮やかな色彩表現は、後世にも高く評価されています。
5月22日


海を渡った日本の美:メトロポリタン美術館の尾形光琳『八橋図屏風』
メトロポリタン美術館が所蔵する八橋図屏風は、江戸時代に活躍した日本の画家、尾形光琳の代表作です。本作品は、日本の古典文学『伊勢物語』に由来する「八橋」の主題を、琳派様式特有の装飾性と大胆な構図で表現した、江戸時代絵画の金字塔とされています。
5月22日


空中斎、季節を織りなす:藤・牡丹・楓図にみる琳派の息吹
本阿弥光甫(ほんあみ こうほ)による三幅対「藤・牡丹・楓図」は、江戸時代初期の日本の花鳥画を代表する傑作の一つであり、作者の洗練された美意識と卓越した技術を如実に示しています。本作は、春の藤、夏の牡丹、秋の楓という、それぞれの季節を象徴する花木を三つの掛軸に描き分けたものであり、東京国立博物館に所蔵されています 。
5月17日


人の一生を山登りに例えた鎌倉時代の作品:おいのさか図
東京国立博物館所蔵の「おいのさか図」は、人間の一生を山の登り降りに例えた珍しい絵画作品です。鎌倉時代(14世紀)に制作されたこの作品は、誕生から死までの人生の旅路を四季の移り変わりとともに描き出し、人生の無常観と四季の変化を重ね合わせた日本美術の代表的作例として貴重な存在となっています。紙本着色で描かれたこの縦長の作品は、日本の伝統的な「老いの坂」の概念を視覚的に表現した稀少な作例であり、日本の中世における人生観と時間認識の理解に重要な手がかりを提供しています。
5月17日


伝説と芸術に息づく日本の蔓草:定家葛
テイカカズラ(定家葛、学名:Trachelospermum asiaticum)は、日本の本州、四国、九州、そして朝鮮半島を原産とするキョウチクトウ科の常緑つる性木本植物です。初夏(5月から6月)に、甘い芳香を放つ白い花を咲かせ、咲き進むにつれてクリーム色へと変化します。
5月3日


日本の植物学の夜明けを告げる至宝:「小石川植物園草木図説」が織りなす科学と美の世界
「小石川植物園草木図説」は、明治14年(1881)から明治19年(1886)にかけて編纂された、日本の近代植物学の幕開けを告げる画期的な植物図譜です。この図譜は、多色石版印刷に一部手彩色が施されており、当時の植物の姿を驚くほど鮮やかに、そして精密に伝えています。
5月1日


墨に咲く春の息吹:「賞春芳」が語る江戸の美意識と花卉文化の深淵
「賞春芳」は、安永6年(1777)に跋刊された、恵美長敏によって編纂された画帖です。この作品の核心にあるのは、京都の漢学者や医師たちが都の春景色を愛でて詠んだ漢詩と、当時を代表する著名な画家たちの絵が一体となって表現されている点です。
5月1日


『素晴らしき日本の六十の風景』が織りなす魅惑の日本風景
日本の四季折々の風景、特にそこに咲き誇る花々や息づく植物は、古くから日本人の心に深く根ざし、豊かな文化を育んできました。私たちは、ただその美しさを眺めるだけでなく、自然の中に人知を超えた崇高なものを見出し、精神的な深みを感じ取ってきました。この感性は、「花鳥風月」や「侘び寂び」といった言葉に象徴される日本の根源的な美意識として、文化全体に深く浸透しています。
5月1日


俳諧と花が織りなす江戸の美意識:『誹諧名知折』が伝える日本の心
江戸時代中後期に活躍した谷素外(1733-1823)は、俳諧の世界、特に談林派の推進において重要な役割を果たした人物です。素外の名は、単に一俳人としてのみならず、俳諧の普及と深化に貢献した指導者としても記憶されています。その素外が編纂した『誹諧名知折』は、単なる句集ではなく、俳諧の理論や実践に関する包括的な指南書、すなわち俳論書としての性格を持っています。特に、図解を豊富に取り入れた俳諧手引書としての体裁は、当時の俳諧学習者にとって画期的なものであったと考えられます。
5月1日


江戸の美意識が息づく奇跡の植物図譜:『草木奇品家雅見』の世界
本稿では、文政10年(1827)に刊行された稀代の植物図譜『草木奇品家雅見(そうもくきひんかがみ)』を通して、江戸時代後期の園芸文化の深奥に迫ります。この図譜は、単なる植物の記録に留まらず、当時の人々の美意識、知的好奇心、そして自然への深い敬意を雄弁に物語っています。時を超えて現代に語りかける、江戸の植物たちの物語を紐解いていきましょう。
5月1日


博物図(掛図)について
明治維新以後、全国に小学校が設立され、児童の就学が励行されるようになりました。文部省は学校教育の始まりにあたり、欧米の学校教育を参考に、新しい教材・教具を採り入れてましたが、その代表的なものが博物図掛図で、授業に用いる視覚教材として普及しました。
5月1日


万葉の香、庭先の陰:馬酔木
アセビ(学名:Pierisjaponica)は、ツツジ科アセビ属に分類される常緑性の低木で、日本の固有種とされています。宮城県以南の本州、四国、九州の山地に自生するほか、庭木や公園樹としても広く植えられています。 顕著な特徴の一つは、早春、多くは2月から4月にかけて開花する、白や淡いピンク色の小さな花です。
4月23日


富貴の譜:牡丹が彩る日本の文化譚
牡丹は中国北西部を原産地とするボタン科の落葉低木です。中国においては、古くから薬用植物としての価値が高く評価され、紀元500年頃に成立したとされる『神農本草経』にも薬草として記載されています。特にその根の皮(牡丹皮)は、漢方薬として様々な病の治療に用いられました。
4月23日


柳揺れる黄金の橋:柳橋水車図屏風
東京国立博物館が所蔵する「柳橋水車図屏風」(りゅうきょうすいしゃずびょうぶ)は、日本の美術史上、特に文化的な活気に満ちた安土桃山時代から江戸時代初期(16世紀末~17世紀初頭)にかけて制作された、視覚的に強烈な印象を与える代表的な屏風絵の一つです。六曲一双の大画面全体に広がる金色の背景、斜めに大胆に横切る太鼓橋、そして自然物と人工物が織りなす構成は、観る者を一瞬にして豪華絢爛でありながらどこか謎めいた世界へと誘います。この屏風は重要美術品に指定されており、その芸術的価値と歴史的重要性が公に認められています。
4月13日


菊に秘められた美の系譜:『菊花明治撰』が語る日本の花卉文化と精神性
菊花明治撰は、明治24年(1891)に当時の鹿児島縣士族・今井兼角によって出版された菊の画集です 。本書は少なくとも上之巻が存在し、江戸時代に発達した多様な菊の品種を、日本画家の長田雲堂 (1849-1922) が精緻な筆致で描き出しています。
4月1日


景文花鳥画譜の世界:自然への敬愛が織りなす日本の美
江戸時代後期、京の都で活躍した絵師、松村景文(まつむら けいぶん)によって描かれた『景文花鳥画譜』は、この豊かな芸術的伝統の中でも特に輝かしい存在です。この画譜に触れることは、単に絵画を鑑賞する以上の体験であり、日本の心象風景、そしてその奥深い美と哲学的な深みへと誘う旅となるでしょう。景文の筆致が織りなす花鳥の世界は、私たちに自然との対話の喜び、そしてそこに宿る見えない力を感じ取る機会を与えてくれます。
4月1日


筆と庭と祭りと:日本の躑躅を巡る物語
ツツジ属(Rhododendron)に属する躑躅は、春から初夏にかけて日本の街や庭園を彩る、ひときわ目を引く花木です。その鮮やかな色彩と多様な形態は、古来より日本人の心を捉え、単なる美しい植物としてだけでなく、文化、芸術、そして精神生活の様々な側面に深く根付いてきました。
3月29日


土を肥やし、心を潤す:蓮華草の文化誌
レンゲソウ、あるいはゲンゲとも呼ばれるこの植物は、春の訪れとともに、日本の各地でその紫紅色の花を咲かせます。特に水田地帯では、その一面に広がる様子が、まるで紫の絨毯を敷き詰めたように見えることから、古くから日本人の心を捉えてきました。
3月29日


古都の彩り、里山の息吹:スミレ(菫)の文化誌
スミレ(菫)という名は、日本においてスミレ属(Viola)の植物全般を指す総称として広く用いられています。しかし、厳密には、日本原産の多年草であるViola mandshurica という特定の種を指す名称でもあります。
3月28日


静寂と調和の芸術:日本の庭園文化
日本の庭園文化は、その独特な美学と哲学的な背景により、世界中で高く評価されています。単なる美しい風景の配置にとどまらず、日本の庭園は芸術、哲学、そして精神性を深く体現しています。その静謐な空間は、見る人に安らぎと瞑想の機会を与え、自然との調和を促します。
3月20日




桜と日本文化2 歴史的モチーフとしての表現と象徴性
日本美術において桜は最も重要で親しまれているテーマの一つです。古来より日本人の美意識を反映し、四季を彩る自然の象徴として数多くの芸術作品に登場してきました。
3月9日


桜と日本文化1 芸術・文学・工芸に息づく日本の美意識
日本人と桜の関係は古代神話の時代から続く深遠なものです。儚く美しい桜の花は、単なる季節の象徴を超え、日本の芸術や文学、工芸など多様な文化表現の中で重要なモチーフとして扱われてきました。
3月9日
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