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描かれた日本の植物
日本の美術作品に描かれた植物に焦点を当て、その魅力や背景にある物語を解き明かすものです。古典に咲く花々、逞しい樹木、美しい文様、そして植物と文化の関係など、様々なテーマで日本の美を彩る植物たちの物語を紹介しています。


春を寿ぐ:住吉具慶筆『観桜図屏風』
観桜図屏風は、住吉具慶が手掛けた六曲一隻の屏風です。制作年代は特定されていませんが、落款から法眼期に制作されたことがわかります。この屏風は、『伊勢物語』第八十二段「渚の院」を題材に、桜を愛でる人々の姿を繊細に描いた作品です。
3月1日


時を超え、花の下に集う人々:国宝「花下遊楽図屏風」が誘う桃山・江戸初期の華やぎと精神性
本稿では、約400年前の桃山時代末期から江戸時代初期に描かれた国宝「花下遊楽図屏風」を紐解き、当時の花見の情景を鮮やかに伝えるだけでなく、その時代の人々の精神性や文化の真髄を垣間見せてくれる貴重な作品としての価値を探ります。
3月1日


いにしえの調べ:定家十体と和歌の美
定家の業績は、和歌という枠組みを超えて、日本の美意識や文化を理解する上でも重要な意味を持ちます 。定家は、和歌を通して、自然と人間の関わり、感情の機微、そして言葉の美しさを表現しました。彼の作品は、現代においても、私たちに深い感動と共感を呼び起こします。
2月24日


墨に五彩あり:水墨画の梅
水墨画で描かれた黒と白のモノトーンの世界は、日本人の心に深く根付く「わび・さび」などの渋さや質素さを好む文化と相性が良く、 茶道や華道にも通じる、静寂や落ち着きを感じさせる要素を持っています。
2月22日


悠久の生命を宿す金屏風:鈴木松年筆 老松図屏風が語る日本の心
メトロポリタン美術館に所蔵される「鈴木松年筆 老松図屏風」(英語タイトル: Aged Pines)は、日本の伝統的な美意識と壮大な表現力が融合した傑作です。この作品は、日本美術が国際的に高く評価されている証しであり、その存在自体が日本の豊かな文化遺産を世界に紹介する役割を果たしています。
2月9日


酒井抱一筆「流水四季草花図屏風」について
酒井抱一筆「流水四季草花図屏風」は、江戸時代後期の絵師、酒井抱一によって描かれた屏風絵です。繊細な筆致で四季折々の草花と流水が描かれており、抱一の特徴である琳派の装飾性と写実性が融合した、優美で華やかな作品です。
2月9日


葛飾北斎の花鳥画24点
北斎は、風景画、美人画、役者絵、花鳥画など、様々なジャンルの作品を手がけ、特に風景画の分野で大きな功績を残しました。代表作である「富嶽三十六景」は、国内外で高く評価され、ゴッホやモネなど、西洋の印象派の画家たちにも大きな影響を与えました。
2月4日


東京国立博物館所蔵「花車図屏風」考
本屏風の特徴は、絢爛豪華な金地を背景に、四季の花々を満載した五輛の花車が描かれている点にあります。それぞれの車には、藤、牡丹、杜若、紫陽花、菊といった、異なる季節の花が飾り付けられており、画面全体に華やかな雰囲気が漂います。
1月26日


四季花鳥画帖が誘う、日本の美意識の深淵:増山雪園が描いた自然の詩
増山正寧、号・雪園は、天明5年(1785)に第5代伊勢長島藩主・増山正賢(号:雪斎)の長男として江戸で生まれました 。享和元年(1801)に父の隠居に伴い家督を継ぎ、第6代藩主となりました。幼少期から聡明で知られ、文政5年(1822年)には幕府の若年寄に任じられるなど、藩政においても儒学者の中島作十郎らを招聘して藩士子弟の教育や文治の発展に尽力しました。
1月26日


「伝土佐光信筆 竹四季図屏風」が織りなす、日本の自然観と精神性
この屏風の主題は「竹」であり、四季の移ろいを繊細な筆致で描写している点が最大の特徴です。構図においては、左右の屏風それぞれに、成長した竹(成竹)と若竹が絶妙なバランスで配置され、画面に奥行きと変化に富んだ空間が表現されています。成竹は屏風の左右端や中央後方に、若竹は左右屏風それぞれの中央前方に描かれることで、遠近感が巧みに演出されています。
1月25日


墨に詠う梅:日本文化におけるその表現と影響
鮮やかな紅白の花を咲かせ、甘い香りを漂わせる梅は、古くから日本人に愛されてきた花です。その凛とした姿は、冬の寒さにも負けずに春の訪れを告げる生命力の象徴として、多くの歌や絵画に描かれてきました。
1月19日


雪舟筆「四季花鳥図屏風」に息づく水墨の詩情
本屏風には、四季折々の豊かな自然が描き込まれています。具体的には、牡丹や椿といった花々、鶴や鴨などの鳥類、そして松や梅といった樹木が主要なモチーフとして確認できます。これらの動植物は、単に写実的に自然の姿を写し取ったものではなく、それぞれが伝統的な象徴性を担っています。例えば、松は常緑であることから長寿や不変の象徴とされ、梅は厳寒の中で花を咲かせることから生命力や再生の象徴と見なされます。また、鶴も長寿の象徴として吉祥図様によく用いられます。
1月19日


花鳥風月、歌に託す:狩野永敬筆「十二ヶ月花鳥図屏風」
四季折々の花鳥を精緻に描いた花鳥図は、古来より多くの人々を魅了してきました。本稿は、江戸時代前期に活躍した狩野派の絵師、狩野永敬筆「十二ヶ月花鳥図屏風」を取り上げ、その魅力と文化的背景について考察します。
1月16日


初代歌川広重の花鳥錦絵:自然の詩情と江戸の粋
初代歌川広重は、江戸時代後期を代表する浮世絵師であり、特に風景画の分野でその名を不滅のものとしました。幼名を徳太郎、後に重右衛門、鉄蔵などと称し、文化6年(1809)に両親を相次いで亡くした後、13歳で家職の定火消同心を継ぎました。しかし、幼い頃からの絵心は抑えがたく、文化8年(1811年)、15歳の時に歌川豊広に入門し、翌年には「広重」の名を与えられました。初期には役者絵や美人画も手掛けましたが、師である豊広の没後、天保元年(1830)頃に「一遊斎」から「一幽斎広重」と号を改め、風景画、そして花鳥図の制作へと本格的に移行しました。その後、『東海道五十三次』シリーズ(保永堂版、1833-1834)で風景画家としての名声を確立し、その叙情豊かな作品群は国内外で高く評価されています。風景画の印象が強い広重ですが、実は花鳥画の分野においても膨大な数の作品を残しており、その芸術世界において重要な位置を占めています。
1月5日


花鳥草木、錦絵に咲く:二代・長谷川貞信が遺した彩りの世界
長谷川徳太郎は、二代 長谷川貞信として知られる絵師の本名です。嘉永元年(1848)、大阪の著名な浮世絵師であった初代 長谷川貞信の長男として生を受けました。慶応元年(1865)頃より小信の号で活動を開始し、明治8年(1875)に父の名を継承し二代目を襲名しました。その画業は明治43年(1910)頃まで続き、昭和15年(1940)に93歳で没したと記録されています。父である初代貞信及び歌川派の絵師である歌川芳梅に師事し、この二元的な指導は、伝統的な浮世絵技法の強固な基盤と、より広範な様式的潮流への接触を彼にもたらしたと考えられます。
1月1日


漆工と絵画の両方で優れた才能を発揮した柴田是真の画帖:是真画帖
「是真画帖」とは、幕末から明治時代にかけて活躍した稀代の芸術家、柴田是真が手がけた多岐にわたる作品を収録した画譜の総称です。この画帖は、単一の完成された作品を指すのではなく、彼の卓越した画力と多様な表現技法を凝縮した、貴重な資料群として理解されています。
2024年12月14日


『非水百花譜』が織りなす美の世界:杉浦非水が描いた花卉文化の真髄
日本の四季折々の美しさを彩る花々。古くから、日本人は花に特別な感情を抱き、その姿に人生の機微や哲学を見出してきました。庭園、生け花、そして様々な芸術作品に息づく花卉文化は、私たちの心に深く響く日本の伝統そのものです。この豊かな文化の中で、明治から昭和にかけて活躍した一人の芸術家がいます。その名は杉浦非水。彼は、日本のグラフィックデザインの黎明期を築き、西洋のモダンな感性と日本の伝統美を融合させた独自のスタイルを確立しました。
2024年9月22日


季節感が豊かに表現されている花鳥画:景年花鳥画譜
日本の四季が織りなす豊かな自然は、古くから私たちの心に深く響き、独自の文化と美意識を育んできました。一輪の花、一羽の鳥にも、その生命の輝きや移ろいの中に、深い物語や哲学を見出すのが日本人です。この繊細な感性が凝縮された芸術の一つが「花鳥画」であり、その中でも特に異彩を放つのが、近代日本画壇の巨匠・今尾景年が手掛けた『景年花鳥画譜』です。
2024年7月21日


三代歌川豊国と初代歌川広重による合作の役者絵:当盛六花撰
「当盛六花撰」は、安政元年(1854)に版元・錦昇堂から出版された、全六図からなる浮世絵のシリーズです。この作品の最大の特徴は、歌舞伎役者の姿を専門とする三代歌川豊国が人物を描き、風景画の大家である初代歌川広重が背景の花々を描くという、二人の巨匠による「合作」である点にあります。
2024年4月28日


花鳥画に息づく日本の心:幸野楳嶺が描いた自然への讃歌と花卉/園芸文化の美
幸野楳嶺は、天保13年(1842)に京都の商家の息子として生を受けました。幼い頃から絵画に才能を示し、京都画壇の伝統的な四条派の画家である中島来章に師事し、後に山水画の大家である塩川文麟からも学びました。この京都の伝統的な絵画の素養が、彼の芸術の基盤を形成しました。
2024年4月17日
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