名称:流水四季草花図屏風 員数:2曲1双 作者:酒井抱一筆 時代世紀:江戸時代・19世紀 品質形状:紙本金地着色 法量:各 縦162.0 ; 横172.0 所蔵者:東京国立博物館 URL:https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-12321
酒井抱一筆「流水四季草花図屏風」は、江戸時代後期の絵師、酒井抱一によって描かれた屏風絵です。繊細な筆致で四季折々の草花と流水が描かれており、抱一の特徴である琳派の装飾性と写実性が融合した、優美で華やかな作品です。
基本情報
作品名:流水四季草花図屏風
作者:酒井抱一
制作年代:江戸時代 19世紀
材質:紙、金箔、彩色
寸法:各隻 縦162.0cm 横172.0cm
形態二曲一双
酒井抱一について
酒井抱一(1761-1828)は、江戸時代後期の絵師であり、琳派の復興に大きな役割を果たした人物です。姫路藩主の弟として生まれ、裕福な環境で育ちました。40歳で出家し、絵師としての道を歩み始めます。尾形光琳に私淑し、その画風を研究することで、琳派の伝統を継承しつつ、独自の表現を確立しました。
抱一の作品は、金箔や銀箔を大胆に用いた装飾性と、草花や鳥などの自然を繊細に描写した写実性が特徴です。代表作には、「夏秋草図屏風」「四季花鳥図巻」などがあります。
作品解説
「流水四季草花図屏風」は、右隻に春夏、左隻に秋冬の草花が、流れる水とともに描かれています。画面全体に金箔が施され、華やかで装飾的な印象を与えます。きらびやかな金箔は、見る者に豪華さと輝きを感じさせます。
流水は、画面の上部から下部へと流れ、四季の移り変わりを表現しているかのようです。草花は、それぞれの特徴が捉えられ、生き生きと描かれています。金箔を背景に、色彩豊かな草花が浮かび上がり、華やかさと同時に、どこか静寂な雰囲気も漂わせています。
流水は単なる装飾的な要素ではなく、時間の流れと季節の循環を表すモチーフです。これは、東洋美術や哲学に深く根ざした概念です。
右隻(春夏)

左隻(秋冬)

右隻には「抱一筆」、左隻には「雨華抱一筆」の落款があります。
各隻に「文詮」の朱文円印が押されています。
作品の魅力
「流水四季草花図屏風」の魅力は、以下の点が挙げられます。
琳派の装飾性と写実性の融合: 金箔を効果的に用いた装飾性と、草花を丁寧に描写した写実性が見事に調和しています。
四季の移ろいの表現: 流水と草花の組み合わせにより、春夏秋冬の移り変わりが巧みに表現されています。
繊細な筆致と色彩の美しさ: 抱一の卓越した技量によって、草花の繊細な表情や色彩の微妙な変化が生き生きと描かれています。
まとめ
酒井抱一筆「流水四季草花図屏風」は、琳派の伝統を受け継ぎながら、抱一独自の感性によって描かれた、優美で華やかな作品です。四季の草花と流水が織りなす、繊細で美しい世界は、見る者を魅了してやみません。
この作品は、抱一が琳派の装飾性と自然主義的な描写を融合させることで、独自の画風を確立したことを示す好例です。流れる水は、生命の循環と時間の経過を象徴し、咲き乱れる草花は、自然の美しさと生命の輝きを表現しています。抱一は、これらの要素を巧みに組み合わせることで、見る者の心を揺さぶる、情感豊かな作品を生み出しました。
※ 裏面の作品
裏面には、鈴木守一(其一の長男、1823-1889)筆の「竹梅図」が描かれています。
この裏面の作品と表面の関係性は、今後の研究課題とされています。
竹梅図
名称:流水四季草花図屏風 員数:2曲1双 作者:酒井抱一筆 時代世紀:江戸時代・19世紀 品質形状:紙本金地着色 法量:各 縦162.0 ; 横172.0 所蔵者:東京国立博物館 URL:https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-12321
竹梅図 右隻

竹梅図 左隻
