葛飾北斎の花鳥画24点

JBC
2月4日
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更新日：6月23日

葛飾北斎は、世界的に有名な日本の浮世絵師です。宝暦10年9月23日(1760年10月31日)に武蔵国葛飾郡本所割下水(現在の東京都墨田区)で生まれました。嘉永2年4月18日(1849年5月10日)に90歳で亡くなるまで、生涯に3万点を超える作品を残したと言われています。

北斎は、風景画、美人画、役者絵、花鳥画など、様々なジャンルの作品を手がけ、特に風景画の分野で大きな功績を残しました。代表作である「富嶽三十六景」は、国内外で高く評価され、ゴッホやモネなど、西洋の印象派の画家たちにも大きな影響を与えました。中でも「神奈川沖浪裏」は、そのダイナミックな構図と鮮やかな色彩で、世界的に最も有名な日本の美術作品の一つと言えるでしょう。本稿では、葛飾北斎の花鳥画24点をご紹介します。

生涯

北斎の生涯は、作風の変化に合わせて、大きく以下の6つの時期に分けられます。

Period	Years	Description
絵師以前	宝暦10年(1760年)～安永6年(1777年)	幼少期から絵を描くことに興味を持ち、6歳頃から絵を描き始めたとされています。14歳の時に彫師の仕事に就き、絵を描く技術を磨きました。19歳で浮世絵師、勝川春章に入門し、浮世絵師としての道を歩み始めました。
習作の時代	安永7年(1778年)～寛政6年(1794年)	勝川春章のもとで役者絵を学び、春朗と号して作品を発表しました。師匠の画風を踏襲しつつ、独自の表現を模索し、才能を開花させていきました。
宗理様式の時代	寛政6年(1794年)～文化元年(1804年)	勝川派を破門された後、琳派の絵師である俵屋宗理の画風から影響を受け、宗理と号しました。この時期の作品は、繊細で優美な線描が特徴です。宗理の画風を研究することで、北斎は自身の表現の幅を広げていきました。
読本挿絵と肉筆画の時代	文化元年(1804年)～文化8年(1811年)	北斎と号し、読本挿絵や肉筆画を多く手がけました。この時期は、様々な画風を試み、表現の幅を広げていった時期と言えます。読本挿絵では、物語の世界を生き生きと描き出し、肉筆画では、繊細な筆致で人物や風景を表現しました。
絵手本の時代	文化9年(1812年)～文政12年(1829年)	「北斎漫画」をはじめとする絵手本を多数出版しました。これらの絵手本は、当時の人々に絵を描く楽しみを提供するとともに、後世の画家たちにも大きな影響を与えました。北斎の絵手本は、写実的な描写から漫画的な表現まで、多岐にわたる画風を網羅しており、絵画技法の百科事典的な役割を果たしました。
錦絵の時代	天保元年(1830年)～天保4年(1833年)	風景画の傑作「富嶽三十六景」を出版し、錦絵の黄金時代を築きました。この時期は、北斎の画風が円熟期を迎えた時期と言えます。大胆な構図と鮮やかな色彩で、富士山の様々な表情を描き出し、風景画の新たな境地を開拓しました。
晩年期肉筆画の時代	天保5年(1834年)～嘉永2年(1849年)	晩年は、肉筆画を中心に制作活動を行いました。大胆な構図と鮮やかな色彩を用いた作品は、北斎の衰えぬ創作意欲を示しています。晩年の肉筆画には、長年の探求によって培われた、円熟した技法と自由な表現が見て取れます。

代表作

北斎は生涯に多くの作品を残しましたが、その中でも特に有名な作品をいくつか紹介します。

富嶽三十六景：富士山を様々な角度から描いた風景画の連作です。葛飾北斎の代表作として広く知られており、浮世絵の枠を超えて、世界的に高い評価を得ています。Prussianblueなどの西洋から輸入された顔料を用いることで、従来の浮世絵にはない深みのある青色を実現し、風景に新たな奥行きを与えました。
北斎漫画：15編からなる絵手本です。人物、動物、風景、妖怪など、様々な題材が描かれており、北斎の画技の幅広さを見ることができます。単なる絵手本としてだけでなく、漫画の原点とも言える作品であり、現代の漫画にも通じる表現技法を見ることができます。
諸国滝廻り：全国各地の滝を描いた風景画の連作です。「諸国滝廻り」は、北斎が風景画の新たな可能性に挑戦した作品群です。ダイナミックな構図と繊細な描写で、水の流れや周囲の自然を生き生きと表現しています。
百物語：怪談を題材とした絵画シリーズです。幽霊や妖怪などが描かれており、北斎の想像力の豊かさを感じることができます。当時流行していた怪談話を題材に、北斎独自の解釈を加え、幻想的な世界を創造しました。

画風と技法

北斎の画風は、時代とともに変化しましたが、生涯を通じて、大胆な構図、精緻な描写、そして鮮やかな色彩を特徴としていました。また、西洋画の遠近法や陰影法を取り入れるなど、常に新しい表現方法を模索していました。

北斎は、浮世絵の伝統的な技法を踏まえつつ、独自の技法を開発しました。例えば、「富嶽三十六景」では、藍摺(あいずり)と呼ばれる技法を用いて、鮮やかな青色を表現しています。また、西洋から輸入されたベロ藍と呼ばれる顔料を使用することで、従来の浮世絵にはない深みのある青色を実現しました。

葛飾北斎の影響と比較

葛飾北斎の作品は、国内外で高く評価され、多くの芸術家に影響を与えました。

西洋美術への影響：「富嶽三十六景」は、ヨーロッパにジャポニズムブームを巻き起こし、モネ、ゴッホ、ドガなど、印象派の画家たちに大きな影響を与えました。特に、浮世絵の平面的な表現や大胆な構図は、西洋絵画の伝統的な表現方法に新たな視点をもたらしました。
日本の美術への影響：北斎の絵手本は、多くの画家たちに模写され、日本の近代絵画の発展に貢献しました。写実性と装飾性を兼ね備えた北斎の画風は、後進の画家たちに多大な影響を与え、日本の絵画表現を豊かにしました。