巻7-1356　向つ峰に立てる桃の木成らめやと人そささやく汝が心ゆめ 作者未詳
巻7-1358　はしきやし我家の毛桃本繁み花のみ咲きて成らざらめやも 作者未詳
巻10-1889　我がやどの毛桃の下に月夜さし下心よしうたてこのころ 作者未詳
巻11-2834　大和の室生の毛桃本繁く言ひてしものを成らずは止まじ 作者未詳
巻17-3967　山峡に咲ける桜をただ一目君に見せてば何をか思はむ 大伴宿禰池主
巻19-4139　春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ少女 大伴宿禰家持
巻19-4192　桃の花紅色ににほひたる面輪のうちに青柳の細き眉根を咲み曲がり朝影見つつ娘子らが手に取り持てるまそ鏡二上山に木の暗の繁き谷辺を呼びとよめ朝飛び渡り夕月夜かそけき野辺にはろはろに鳴くほととぎす立ち潜くと羽触りに散らす藤波の花なつかしみ引き攀ぢて袖に扱入れつ染まば染むとも 大伴宿禰家持