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ツタ

蔦・都多・津田

テイカカズラ・定家葛

キョウチクトウ科テイカカズラ属

Trachelospermum asiaticum

ツタ

巻2-135 つのさはふ石見の海の言さへく辛の崎なる海石にそ深海松生ふる荒磯にそ玉藻は生ふる玉藻なす靡き寝し児を深海松の深めて思へどさ寝し夜はいくだもあらず延ふ蔦の別れし来れば肝向かふ心を痛み思ひつつかへりみすれど大船の渡の山の黄葉の散りのまがひに妹が袖さやにも見えず妻ごもる屋上の〔一に云ふ、室上山〕山の雲間より渡らふ月の惜しけども隠ろひ来れば天伝ふ入日さしぬれますらをと思へるわれも敷たへの衣の袖は通りて濡れぬ 柿本朝臣人麻呂

巻9-1804 父母が成しのまにまに箸向かふ弟の命は朝露の消易き命神のむた争ひかねて葦原の瑞穂の国に家なみやまた帰り来ぬ遠つ国黄泉の界に延ふつたの己が向き向き天雲の別れし行けば闇夜なす思ひ迷はひ射ゆ鹿の心を痛み葦垣の思ひ乱れて春鳥の音のみ泣きつつあぢさはふ夜昼知らずかぎろひの心燃えつつ悲しび別る 田辺福麻呂之歌集

巻13-3291 み吉野の真木立つ山に青く生ふる山菅の根のねもころに我が思ふ君は大君の遣のまにまに〔或る本に云はく、大君の命恐み〕鄙離る国治めにと〔或る本に云はく、天離る鄙治めにと〕群鳥の朝立ち行かば後れたる我か恋ひむな旅なれば君か偲はむ言はむすべせむすべ知らに〔或る書に、「あしひきの山の木末に」の句あり〕延ふつたの行かくの〔或る本に、「行かくの」の句なし〕別れのあまた惜 作者未詳

巻17-3991 もののふの八十伴の緒の思ふどち心遣らむと馬並めてうちくちぶりの白波の荒磯に寄する渋谿の崎たもとほり松田江のながはま過ぎて宇奈比川清き瀬ごとに鵜川立ちか行きかく行き見つれどもそこも飽かにと布施の海に船浮けすゑて沖辺漕ぎ辺に漕ぎ見れば渚にはあぢ群騒き島廻には木末花咲きここばくも見のさやけきか玉くしげ二上山に延ふつたの行きは別れずあり通ひいや年のはに思ふどちかくし遊ばむ今も見るごと 大伴宿禰家持

巻19-4220 海神の神の命のみくしげに貯ひ置きて斎くとふ玉にまさりて思へりし我が子にはあれどうつせみの世の理とますらをの引きのまにまにしなざかる越路をさして延ふつたの別れにしより沖つ波撓む眉引き大船のゆくらゆくらに面影にもとな見えつつかく恋ひば老い付く我が身けだし堪へむかも 大伴坂上郎女

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