巻9-1777 / 君なくはなぞ身装はむ櫛笥なる黄楊の小櫛も取らむとも思はず / 播磨娘子
巻11-2500 / 朝月の日向か黄楊櫛古りぬれどなにしか君が見れど飽かざらむ / 柿本朝臣人麻呂之歌集
巻11-2503 / 夕されば床の辺去らぬ黄楊枕いつしかと汝は主待ちがてに / 柿本朝臣人麻呂之歌集
巻13-3295 / うちひさつ三宅の原ゆひた土に足踏み貫き夏草を腰になづみいかなるや人の児故そ通はすも我子うべなうべな母は知らじうべなうべな父は知らじ蜷の腸か黒き髪にま木綿もちあざさ結ひ垂れ大和の黄楊の小櫛を押へ刺す刺細の子それそ我が妻 / 作者未詳
巻19-4211 / 古にありけるわざのくすばしき事と言ひ継ぐ血沼壮士うなひ壮士のうつせみの名を争ふとたまきはる命も捨てて争ひに妻問ひしける処女らが聞けば悲しさ春花のにほえ栄えて秋の葉のにほひに照れるあたらしき身の盛りすらますらをの言いたはしみ父母に申し別れて家離り海辺に出で立ち朝夕に満ち来る潮の八重波になびく玉藻の節の間も惜しき命を露霜の過ぎましにけれ奥つ城をここと定めて後の世の聞き継ぐ人もいや遠に偲ひにせよと黄楊小櫛然刺しけらし生ひてなびけり / 大伴宿禰家持
巻19-4212 / 処女らが後のしるしと黄楊小櫛生ひ変はり生ひてなびきけらしも / 大伴宿禰家持