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江戸時代後期に刊行された、鉢植え・盆栽などの園芸指南書:金生樹譜

長生舎主人(栗原信充)の金生樹譜別録は、江戸後期の園芸書で、元々は万年譜、松葉蘭譜など7冊のシリーズ本の別録として出版されました。



内容

  • 上巻:盆栽に力点を置き、様々な鉢(特に瀬戸焼)を紹介。敷板、塗台、机、飾棚、運搬用の箱、温室などの園芸用具についても解説。

  • 中巻:松、柳、梅の各地の銘木を図説。

  • 下巻:接木、挿木、実生など繁殖法、採集用具、培養土などを解説。


特徴

  • 接木:切接、割接、そぎ接、腹荏、連接など、様々な方法を紹介。オモト、キク、アサガオなど草花への接木についても言及。

  • 道具:採集用の野山篭、ハサミ、カマ、根切、薬用・茎用・虫用のハケ、竹製・木製・銅製の如露など、多様な道具を紹介。


補足

金生樹譜別録は、当時の園芸技術や用具、園芸文化を知る上で貴重な資料です。特に、瀬戸焼の鉢が江戸で重要な役割を果たしていたことや、様々な接木技術が確立されていたことなどが分かります。





栗原信充について


長生舎主人、すなわち栗原信充(1794-1870)は、江戸時代後期の旗本・儒学者・博物学者・園芸家です。


生涯

  • 寛政6年(1794年)に生まれ、柴野栗山に儒学、平田篤胤に国学を学びました。

  • 文化14年(1817年)に家督を継ぎ、小普請組に入りました。

  • 天保7年(1836年)に徒士組頭となり、安政3年(1856年)には目付役を務めました。

  • 万延元年(1860年)に隠居し、柳菴と号しました。

  • 明治3年(1870年)に77歳で亡くなりました。


人物像

  • 博学多才で、儒学、国学、本草学、園芸、歴史、武芸など幅広い分野に精通していました。

  • 特に園芸に造詣が深く、「長生舎主人」と号して多くの園芸書を著しました。

  • 温厚篤実な人柄で、多くの人から尊敬されていました。


主な著書

  • 園芸関係: 万年青譜、松葉蘭譜、金生樹譜別録、草木奇品家雅見など

  • 歴史関係: 鎌倉武鑑、応仁武鑑、国史年表など

  • 武芸関係: 甲冑図式、装剣備考、武器袖鏡など

  • その他: 玉石雑誌、柳菴雑筆など


業績

  • 園芸の分野では、多くの植物を研究し、その栽培法や品種改良について詳しく解説しました。

  • 金生樹譜別録では、接木技術や園芸用具について詳細に記述し、当時の園芸技術の発展に貢献しました。

  • 歴史の分野では、鎌倉時代や応仁の乱について研究し、貴重な資料を残しました。

栗原信充は、江戸時代後期における学問・文化の発展に貢献した人物であり、その多岐にわたる業績は、現代においても高く評価されています。





上 巻


長生舎主人 編『金生樹譜別録 3巻』[1],[天保中頃].

国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2556746







中 巻


長生舎主人 編『金生樹譜別録 3巻』[2],[天保中頃].

国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2556747








下 巻


長生舎主人 編『金生樹譜別録 3巻』[3],[天保中頃].

国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2556748










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