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東京国立博物館所蔵「花車図屏風」考



花車図屏風
員数:6曲1双 作者:筆者不詳 時代世紀:江戸時代・17世紀 品質形状:紙本金地着色 法量:各 縦154.5 横364.2  所蔵者:東京国立博物館 https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-1459?locale=ja

本稿では、東京国立博物館に所蔵されている「花車図屏風」について、その特徴や歴史的背景、文化的意義などを多角的に考察いたします。本屏風は、江戸時代初期に制作されたと推定される六曲一双の屏風で、金地を背景に、四季の花々を満載した五輛の花車が描かれています。花車図は、当時大名家の間で流行した画題であり、主に狩野派の絵師によって描かれました。



花車図屏風の概要


東京国立博物館所蔵の「花車図屏風」は、江戸時代・17世紀に制作された六曲一双の屏風です。材質は紙本金地着色で、各隻の寸法は縦154.5cm、横364.2cmです。作者は不詳ですが、狩野派の絵師によって描かれた可能性が高いです。   


本屏風の特徴は、絢爛豪華な金地を背景に、四季の花々を満載した五輛の花車が描かれている点にあります。それぞれの車には、藤、牡丹、杜若、紫陽花、菊といった、異なる季節の花が飾り付けられており、画面全体に華やかな雰囲気が漂います。花車は、観賞用の花を載せて移動させるための輿であり、江戸時代初期には、大名や裕福な町人が花見の際に用いたとされます。   


加えて、本屏風は、金地の背景に六つの掛け軸が並べられたような構成となっており、元々は掛け軸として制作されたものを屏風に仕立て直した可能性も考えられます。   



花車図の歴史的背景


花車図は、桃山時代末期から江戸時代初期にかけて流行した画題です。安土桃山時代の華麗な装飾性と、江戸時代初期の武家社会における秩序や格式を反映した画題といえるでしょう。   


花車は、移動式の庭園としての役割も担っており、自然と人工の美の融合を象徴する存在でもありました。また、花車に載せられた四季折々の花々は、自然の循環や生命の豊かさ、そして時の流れの儚さを暗示しているとも考えられます。   


さらに、花車図屏風の豪華な金地の使用と構図は、桃山時代の華麗さと、江戸時代初期に芽生えた社会秩序と形式性の融合を反映した興味深いものです。



花車図の文化的意義


花車図は、絵画作品としての美しさだけでなく、当時の文化や社会を反映した歴史的資料としても重要な価値を持ちます。本屏風に見られるように、花車図は、金地や華やかな色彩を多用した装飾性の高い作品が多いです。これは、当時の権力者や富裕層の美的感覚や、社会における富の象徴としての意味合いを示していると考えられます。   


また、花車図は、屏風や襖絵、掛軸など、様々な形式で描かれました。これは、花車図が、単なる絵画作品としてだけでなく、室内装飾や調度品としても重要な役割を担っていたことを示唆しています。   



まとめ


本稿では、東京国立博物館所蔵の「花車図屏風」について考察いたしました。本屏風は、江戸時代初期に制作された花車図の代表的な作品であり、絢爛豪華な装飾性と、四季の花々を題材とした絵画表現が魅力です。

この屏風は、桃山時代から江戸時代への移行期における美術の潮流を反映しており、自然美と人工美の調和、そして時の流れの儚さといったテーマを表現しています。また、金地の使用や花車のモチーフは、当時の社会における富と権力の象徴、そして花見という文化的重要性を示唆しています。本屏風を通して、当時の文化や社会、そして美的感覚を垣間見ることができます。





員数:6曲1双 作者:筆者不詳 時代世紀:江戸時代・17世紀 品質形状:紙本金地着色 法量:各 縦154.5 横364.2  所蔵者:東京国立博物館 https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-1459?locale=ja






参考



花車図屏風 - 文化遺産オンライン


花車をめぐる考察





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