新渡花葉図譜は、幕末期から明治初期にかけて作成された重要な植物図譜です。以下にその主な特徴をまとめます。
概要と構成
- 尾張藩士の渡辺又日菴(規綱)によって天保末年(1840年頃)から明治3年(1870年)にかけて作成
- 乾・坤の2冊構成
- 合計130種以上の植物を収録
特徴
主に幕末期に日本へ渡来した外来植物を中心に描かれている
多くの植物に渡来年や尾張への導入経路が注記されている
36品もの植物が本書に初出として記録されている
遣米使節(1860年)と遣欧使節(1862年)が持ち帰った植物種子の記録も含む
主な収録植物
グラジオラス(ナガルボーム)
アメリカナデシコ(ヱイケンラシヤ)
サンジソウ(メリケン柳草)
モミジアオイ(亜米利加産芙蓉)
ゼラニウム(天竺蜀葵)
ヒアシンス(フシヤシントウ)
歴史的価値
幕末から明治の植物学研究や園芸文化の発展に貢献
19世紀の日本における植物の渡来と普及の過程を知る上で重要な一次資料
後世への影響
本書は、植物学者・伊藤篤太郎が母の小春(伊藤圭介の五女)に転写してもらった写本として現存しています。これにより、当時の植物学研究や園芸文化の発展に貢献したと考えられます。
新渡花葉図譜は、幕末期の日本における外来植物の導入と普及の過程を詳細に記録した貴重な資料であり、植物学史および園芸史の研究に重要な役割を果たしています。
乾巻
渡邉又日庵 撰『新渡花葉圖譜』[1],伊藤小春写,1914. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2558209
坤巻
渡邉又日庵 撰『新渡花葉圖譜』[2],伊藤小春写,1914. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2558210
参考
明治前園芸植物渡来年表
『新渡花葉図譜』--幕末渡来植物の一資料 - CiNii Research